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2009年5月

新生児

赤ん坊が家にやってきた。新生児である。しかし、目を離したすきにひとりで立って歩こうとする。おや?まだ首も据わってないはずだと思い近づいてみると、赤ん坊はすやすやと眠ったふりをする。

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鳳凰

風に揺らぐ錦の紐
しだいに解かれ、放たれて
さまざまな光となって融けていく

その中から
あらわれた鳥は
中空の
あの青い空の見えない場所にいる

今も

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千年の眠り

090525

その人の眠る場所は湖の向こうの緑の中にあった。
そこには誰も立ち入ることは許されない。

わたしは彼女のことが知りたかったので
立ち入り禁止にした人たちに長い間不満を抱いていた。

しかし、それは本当は彼女の意志によるものらしい。

ここに入って調べてもその人たちに何かがわかるわけではないのよ。

すぐ近くを発掘調査している人たちがいる。
その前を通ろうとすると、現場を覗き込んではいけないと注意される。

彼らにしてもそう。
自分の場所からしか見ようとはしない人たちだからね。
わたしは誤解されるよりは理解されない方を選んでいる。
でもまぁ。荒唐無稽な誤解はされているかもしれない。

今後理解する人が現れたならば
この場所も開示されることになるでしょう。
そのときは…

わたしの行おうとしたことはその前もそれ以後も
この世には存在しなかったことだとわかるでしょう。

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塔のような建物の崩壊

 あたりがうす暗くなってきた。わたしはいつもとは別の道を通って家へ帰ろうとする。途中に誰かの邸宅らしきところがある。門の外からは建物は見えない。こんなところに広い敷地の家があるとは知らなかった。しかし、現在は誰も住んでいないのか、人の気配はない。

 一緒にいた友人たちが、ちょっと見ていこうよと誘う。少し危険な感じがして、わたしが躊躇していると、彼らはどんどん門の中に入って行ってしまうので、一番後からついていく。

 門の中に入り歩いて行くと、うっすらと建物が見えてくる。遠くからだと暗くて見えなかったのだが、予想外に高くて立派な塔のような建物だ。と、突然その建物がガラガラと崩れ始める。あわてて逃げるその途中で、近づきすぎないで良かったと思う。最初から中に入るつもりはなかったのだけれど。

 それにしても、先に行った友人たちはどうしただろう?うまく逃げられたかどうかちょっと心配になる。

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濡れたタイルの舗道

その街で、わたしは雨で濡れたタイルの舗道を走っている。
下駄を履いているのに(!)予想外に軽快である。
引き続き油断なく接地点の感覚を研ぎ澄ます。

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新聞の投書欄

 新聞の投書欄で、こんな記事を目にする。

 わたしは獣医になる勉強をしています。最近わたしの先生が、アヒルとハトを一緒のものとして扱うので戸惑っています。
 わたしは以前盲目でしたが、目が見えないときでもこの2つの生き物を取り違えることはなかった。盲目のわたしにさえわかったことなのだから、先生が知らないはずはない。わたしにはそうする先生の意図がわからないのです。

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イカズチの威力

突然、閃光と耳をつんざくような激しい衝撃が身体を駆け抜ける。
何が起きたかわからない。しかし、2、3回続いた後、辺りは静かになる。

真っ先に外の様子を見に行った母が家に被害はなかったことを伝える。
続いて弟と二人で見に行くと、家の周りに生えていた樹がごく一部の幹と根を残すだけになっている。

樹の断面は炭化し、そこに燠火が灯っている。


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