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魄戸

 魄戸という経穴がある。第三胸椎と第四胸椎の間の外三寸のところにあるといわれている。鬼が手を掛けるところで風邪もここから入ってくると、昔とある鍼灸の先生から聞いたような気がする。

 そんなことを今朝になって思い出した。というのも昨晩こんなことがあったからだ。

 いつものように、眠りに着く前にあれこれいろんなことに思いをめぐらせていると、不意に、背中の上の方、首の付け根の下辺りに誰かの手が触れている。

 君はどこかあのひとに似ているね。

 声が聞こえたような気がしたが、気味が悪いとは思わなかったのは何故だかよくわからない。声の主は男性だったが、冷たくて柔らかい、好ましい声だったからかもしれない。さらに不思議なことに、彼の言う「あのひと」という人物にわたしには心あたりがあった。

 それで、わたしは思い切って尋ねてみることにした。あなたの言うあのひとというのは、いったい誰のことですか、と。彼の答えはわたしには意外なものだった。

 それは君がなるべき人のことだよ。

 はっと不意をつかれたような気がしたが、瞬間的にわたしはその言葉の意味を理解した。理解したと言うより、それは直接わたしの心臓の中心を射抜いたのだ。

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