大アルカナのパスワーク(16塔)
わたしは塔の中にいて、雷の音を聴く。直撃しているような気配はあるのだが、塔がある程度光や音を吸収しているらしく、中では微かな振動を感じるだけだ。小さな金属片がオルゴールボールの中を動き回っているような、柔らかな鈴のような音が塔の中に反響している。
この塔に使われているのは、物質と非物質の中間の素材だ。
それは、現実には存在しないということだろうか。形がないということか。
形は存在する。ある瞬間には。次の瞬間には、存在しない。つまり、あることとないこととの間の存在形態をとっているということだ。
なるほど。今は目の当たりにしているのでよくわかる。しかし、通常の世界に戻ってこの感じを実感として覚えていることは出来ないかもしれない。
ところで、やっとここへ来れたのだね。おめでとう。今日は以前壊れたところの復元をしよう。もう殆んど治っているけど、最後の一箇所はここへ来ないと出来ないのだよ。
柔らかく温かい光がわたしを包む。頭の右側の方から眩しい金色の光が入ってくる。それは小さなチップのような形になり、頭の中にはめ込まれる。
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